原子力規制委 柏崎刈羽原発は改善不十分で処分解除せず

おととし、テロ対策上の重大な問題が相次いで明らかになり、事実上運転を禁止する行政処分が出されている新潟県の東京電力柏崎刈羽原子力発電所について、原子力規制委員会は改善が不十分だとして、現時点では処分を解除しないことを確認しました。

柏崎刈羽原発では、おととし、外部からの侵入を検知する設備の不備や、社員による中央制御室への不正入室などテロ対策上の重大な問題が相次いで見つかり、原子力規制委員会が事実上運転を禁止する行政処分を出しています。
17日は、東京電力の改善状況を確認してきた検査の結果が規制委員会に報告されました。
それによりますと、侵入を検知する設備については、一定の改善が見られたものの悪天候の際に監視を行うための特別な体制が整備されていないことや問題点を共有する会議での議論が低調なことなど、確認した27項目のうち4つの項目で改善が不十分だとして、検査を継続する必要があるとしています。
規制委員会はこの方針を了承し、現時点では行政処分を解除しないことを確認しました。
東京電力は、電気料金値上げの申請にあたって運転計画に柏崎刈羽原発2基の再稼働を織り込み、7号機はことし10月の再稼働を想定していますが、地元の新潟県などの了解を得られていないことに加え、当面、行政処分が解除されないことで、見通しは依然不透明なままです。

柏崎刈羽原発に出している事実上運転を禁止する行政処分を現時点で解除しないとしたことについて、原子力規制委員会の山中伸介委員長は、「検査を行うなかで一定の改善は見られたものの、東京電力が自律的に核物質防護の問題を改善できる状態になっていない。組織的な要因や現場の意識もまだ改善されていないので、今後の取り組みに期待したい」と述べました。
また、処分を解除する時期については、「ものすごく時間がかかるかもしれないし短時間で済むかもしれないが東京電力の努力しだいだ。ただ、1か月か2か月で改善するとは期待しておらず、私自身としては厳しい状況に変わりないという認識だ」と述べました。
その上で、できるだけ早い時期に東京電力の社長ら幹部と面談を行い、今回の検査結果の受け止めや今後の対応などついて聞き取りを行う考えを示しました。

現時点で行政処分を解除せず検査を続けるという原子力規制委員会の方針を受けて、東京電力は、「引き続き、改善措置計画を進め指摘いただいた4項目についてしっかりと是正を図ってまいります」とするコメントを出しました。