<マンスリー原子力施設>常陽、審査に事実上「合格」

2023年5月31日 07時46分

高速実験炉「常陽」=大洗町で、本社ヘリ「おおづる」から

 ★…原子力規制委員会は24日、日本原子力研究開発機構が2024年度末の運転再開を目指す高速実験炉「常陽」(茨城県大洗町)について、事故対策が新規制基準に適合しているとする審査書案を了承した。事実上の「合格」。意見公募などを経て正式に決定する。
 1977年に初臨界した常陽は、運転に伴い、理論的には消費した以上の核燃料物質が新たに生成する高速増殖炉の実験炉。装置のトラブルなどで2007年から停止中だが、次段階の原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)が16年に廃炉になったことで、原型炉の次段階に当たる実証炉の研究開発などに向けた実験を担う施設として浮上した経緯がある。17年3月に運転再開に必要な審査を申請したものの、運転時の熱出力の変更を巡り規制委からクレームが付き、審査は長期化していた。
 岸田政権が脱炭素社会の実現に向けて昨年末に策定した基本方針は、既存の原発(軽水炉)の再稼働や新増設に加え、高速炉を含む「次世代革新炉」への集中的な研究開発投資を掲げる。今月12日には、基本方針を具体化する「GX(グリーントランスフォーメーション)推進法」が成立した。
 ★…日本原子力発電の発表によると、東海第二原発で4月24日〜30日に1人の新型コロナウイルス感染が判明した。原子力機構の発表では、県内の研究施設などで4月24日〜5月7日に計9人の感染が判明。いずれも、原子炉や核燃料物質などの安全管理に影響はなかったとしている。
 新型コロナの感染症法上の位置付けが8日、季節性インフルエンザ並みの「5類」に移行したのに伴い、原電と原子力機構は感染状況の発表を終了した。(宮尾幹成)

関連キーワード


おすすめ情報

茨城の新着

記事一覧