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半導体装置で高シェアの日本企業、中国戦略練り直しも-輸出規制

更新日時

経済産業省が先端半導体の製造装置など23品目を輸出管理の対象に追加すると発表した。日本の半導体製造装置業界では世界シェアの高いメーカーも多く、今回の措置で中国戦略の大幅な練り直しを迫られそうだ。

  経産省の3月31日の発表で輸出管理の対象となったのは、半導体の洗浄や成膜、露光やエッチングの工程などで使われる製造装置だ。西村康稔経産相は軍事転用の防止が目的で特定の国を念頭に置くものではないと強調するが、米国は対中輸出規制でこれまで日本に協調を求めてきた経緯がある。同省によると、今回の措置で日本企業約10社に影響が及ぶ見通しだという。

  東京エレクトロンは洗浄や成膜、エッチング工程に使われる装置での世界シェアがいずれも高く、中国売上比率は20-25%程度を占める。ブルームバーグインテリジェンスの若杉政寛アナリストはこれが5-10%低下する可能性があるが、「その分、他の市場への販売で数年後には回復する可能性がある」と指摘する。

  一方、岩井コスモ証券の斎藤和嘉シニアアナリストは、米国メーカーが昨年10月から中国に先端プロセス向けの装置を事実上販売できなくなっている中、東エレクも米国の規制に準じた動きを既にしており、「今回の決定で特段影響は受けないだろう」との見方を示す。

  露光装置では、中国向けに販売しているニコンへの影響がありそうだ。斎藤氏はニコンはフッ化アルゴンレーザー液浸露光装置についての中国戦略が白紙になり、「少し頭が痛いだろう」と述べた。

  東エレクの広報担当は、地政学的な事案や規制に関してのコメントは控えるとした上で、正式に発表された規制内容を確認し、適切に対応していくと回答した。ニコンの広報担当は、業績に与える影響は精査中だが、決められたルールを遵守し、その中で最大限の成果が上げられるよう努力するとした。

  洗浄装置で高い市場シェアを持つSCREENホールディングスの広報担当者は「内容を精査し、経産省の指導を仰ぐ」とコメント。成膜プロセス装置などを手掛けるKOKUSAI ELECTRICの広報担当者は「日本政府の方針に沿った対応をしていく。内容を精査の上、対応を見極める」とした。

  一方、今回の措置は中国半導体業界にとっても脅威となる。英調査会社オムディアの南川明シニアコンサルティングディレクターは、中国が16ナノメートル以下の半導体を製造・開発する能力に大きな影響を与えるだろうと指摘する。東洋証券の安田秀樹アナリストも、中国が独自の半導体技術を開発したとしても、その規格は世界のそれとは全く異なるものになるとの見方を示す。

  中国の秦剛外相は、2日に行われた林芳正外相との会談で、米国の対中半導体輸出規制を支援することを控えるよう日本側に求めた。

参考→China Urges Japan to Refrain From Joining US Chip Curbs (2)

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(8段落に識者コメント、9段落に中国の反応を追記しました)
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