敷き詰められた太陽光パネル。出力制限が増えれば太陽光発電への投資の動きが弱まるとの見方も出ている

 太陽光など再生可能エネルギーの発電を送配電会社が止める出力制御が中国地方で頻発し、再エネ事業者が悲鳴を上げている。太陽光発電の急増や節電が進む中、電力の需給バランスを保って停電を防ぐのが制御の目的だが、事業者の売電収入は減り、多くの再エネが無駄になっている。増え続ける再エネを有効活用する施策が問われている。

 「この春の出力制御の回数はひどい」。中国地方で太陽光など複数の再エネ発電所を持つ企業の経営者はこぼす。今春の売電収入は前年同期より4割減る見通し。電力の需要が落ちる週末などは、ほぼ必ず複数の電源が止まるという。

 中国電力ネットワーク(中電NW、広島市中区)によると、今春に出力制御を再エネ事業者に指示した日数は35月で44日間と昨春の6倍以上。制御量も増え、最も多かった4月23日正午~午後0時半は347万キロワット。この時の再エネ出力の6割強が「捨てられた」計算になる。昨春の制御量は最大でも55万キロワットだった。