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水産庁

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(4)水産物貿易の動向

ア 水産物輸入の動向

(水産物輸入金額は1兆7,404億円)

我が国の水産物輸入量(製品重量ベース)は、国際的な水産物需要の高まりや国内消費の減少等に伴っておおむね減少傾向で推移していましたが、令和元(2019)年は前年から4%増の247万トンとなりました(図4-13)。また、令和元(2019)年の水産物輸入金額は、前年から3%減の1兆7,404億円となりました。

輸入金額の上位を占める品目は、サケ・マス類、カツオ・マグロ類、エビ等です(図4-14)。輸入相手国・地域は品目に応じて様々ですが、サケ・マス類はチリ、ノルウェー等、カツオ・マグロ類は台湾、中国、マルタ等、エビはベトナム、インド、インドネシア等から多く輸入されています(図4-15)。

図4-13 我が国の水産物輸入量・輸入金額の推移

図4-13 我が国の水産物輸入量・輸入金額の推移

図4-14 我が国の水産物輸入相手国・地域及び品目内訳

図4-14 我が国の水産物輸入相手国・地域及び品目内訳

図4-15 我が国の主な輸入水産物の輸入相手国・地域

図4-15 我が国の主な輸入水産物の輸入相手国・地域

イ 水産物輸出の動向

(水産物輸出金額は2,873億円)

我が国の水産物輸出金額は、平成20(2008)年のリーマンショックや平成23(2011)年の東京電力福島第一原子力発電所の事故による諸外国の輸入規制の影響等により落ち込んだ後、平成24(2012)年以降はおおむね増加傾向となっています。令和元(2019)年は、主力であるサバ等の漁獲量減少のほか、輸出先第1位である香港の情勢不安等の影響により、輸出量(製品重量ベース)は前年から15%減の64万トン、輸出金額は前年から5%減の2,873億円となりました(図4-16)。

主な輸出相手国・地域は香港、中国、米国で、これら3か国・地域で輸出金額の約6割を占めています(図4-17)。品目別では、中国等向けに輸出されるホタテガイ、主に香港向けに輸出される真珠等が上位となっています(図4-18)。

令和元(2019)年は輸出拡大には不利な条件が重なる年でしたが、米国におけるブリの消費拡大に見られるような海外マーケットにおける日本産水産物の需要の増加や、国際見本市の出展者数の増加等、国内事業者の輸出への機運が高まったと見られ、平成以降の水産物輸出では、第2位の輸出額となりました。

図4-16 我が国の水産物輸出量・輸出金額の推移

図4-16 我が国の水産物輸出量・輸出金額の推移

図4-17 我が国の水産物輸出相手国・地域及び品目内訳

図4-17 我が国の水産物輸出相手国・地域及び品目内訳

図4-18 我が国の主な輸出水産物の輸出相手国・地域

図4-18 我が国の主な輸出水産物の輸出相手国・地域

ウ 水産物輸出の拡大に向けた取組

特集第3節(2)ウ

(水産物輸出目標は、令和12(2030)年までに1.2兆円)

国内の水産物市場が縮小する一方で、世界の水産物市場はアジアを中心に拡大しています。このため、我が国の漁業者等の所得向上を図り、水産業が持続的に発展していくためには、水産物の輸出の大幅な拡大を図り、世界の食市場を獲得していくことが不可欠です。

このような中で、海外市場の拡大を図るため、独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)や水産物・水産加工品輸出拡大協議会によるオールジャパンでのプロモーション活動・商談会の開催、日本食品海外プロモーションセンター(JFOODO)によるプロモーション等が行われています。加えて、輸出先国・地域の衛生基準等に適合した輸出環境を整備するため、国では、欧米への輸出時に必要とされる水産加工施設等のHACCP対応や、輸出増大が見込まれる漁港における高度な衛生管理体制の構築、海外の規制・ニーズに対応したグローバル産地形成の取組等を進めています。

また、令和元(2019)年11月には、農林水産業・食品産業の持続的な発展に寄与することを目的とし、我が国で生産された農林水産物・食品の輸出の促進を図るため、「農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律*1」が公布され、本法に基づき、令和2(2020)年4月に「農林水産物・食品輸出本部」が農林水産省に創設されることとなりました。この本部においては、輸出を戦略的かつ効率的に促進するための基本方針や実行計画(工程表)を策定し、進捗管理を行うとともに、東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴う放射性物質に関する輸入規制の緩和・撤廃を始めとした輸出先国との協議の加速化、輸出向けの施設整備と施設認定の迅速化、輸出手続の迅速化、輸出証明書発行等の申請・相談窓口の一元化・利便性向上、輸出に取り組む事業者の支援等を推進することとしています。

なお、令和2(2020)年3月6日に開催された「農林水産物・食品の輸出拡大のための輸入国規制への対応等に関する関係閣僚会議」において、令和12(2030)年までに農林水産物・食品の輸出額を5兆円とする新たな目標が示され、同月31日に閣議決定された「食料・農業・農村基本計画」において位置付けられました。この目標のうち、水産物の輸出額は1.2兆円とされています。

  1. 令和元(2019)年法律第57号

コラム輸出先国のニーズに応じた商流・物流の構築

サバの主要水揚地である千葉県銚子地区においては、これまでは国内向け・国外向けともに内容量が15kgのダンボール容器での出荷・流通が主流となっていました。一方、近年冷凍サバの需要が高まっているベトナム等東南アジア新興国では、小規模店舗が多いことや港などでの荷積みおろしが人力中心で行われていることから、冷凍水産物等の容器形状は、10kg箱製品が主流となっています。そこで令和元年、同地区の株式会社大國屋は、こうした輸出先国の物流の実情に応じた10kg箱の製造ラインを新たに整備しました。また、トラックドライバーや輸送車両の不足による陸送手段の縮小等によって輸出できる量が制限されているといった事態も生じていたことから、同地区の株式会社三協では、コンテナトランスファーステーションを整備し、冷凍コンテナによる保管を実施し、効果的に出荷できるようにしました。このように生産(銚子市漁業協同組合)、加工(全銚子市加工業協同組合連合会、株式会社大國屋)、流通(株式会社三協)、輸出(全国水産加工業協同組合連合会、有限会社サトーシーフーズ)の関係者が連携し輸出先国のニーズに合わせた流通改善に取り組みました。

水産庁では、水産物の輸出の拡大を図るため、このような国際マーケットに通用するモデル的な商流・物流の構築の取り組みを今後も支援していきます。

輸出先国でニーズの高い規格の商品の製造ラインの写真

お問合せ先

水産庁漁政部企画課

担当者:動向分析班
代表:03-3502-8111(内線6578)
ダイヤルイン:03-6744-2344
FAX番号:03-3501-5097