コブハクジラ漂着珍しく 現地で解剖、食性など調査へ 龍郷町の手広海岸

2022年06月16日

コブハクジラの死骸を調べる関係者ら=15日、龍郷町赤尾木の手広海岸

龍郷町赤尾木の手広海岸に漂着しているのが見つかったクジラの死骸は15日、奄美海洋生物研究会の興克樹会長らが現地で解剖し、砂浜に埋めた。興会長によるとコブハクジラとみられ、死骸が確認されるのは珍しい。胃などの臓器や筋肉を国立科学博物館に送り、食性などを調べる。

 

コブハクジラは世界中の温帯から熱帯の海に広く分布する小型のクジラ。下あごがアーチ状に大きく盛り上がり、雄はそこから大きな歯の先が出ているのが特徴。沖合の深海で餌を食べており、人が見掛けることはあまりないという。

 

奄美大島では2010年1月、奄美市名瀬朝仁の通称・貝浜(けばま)で、雄の成体の死骸が漂着した記録がある。

 

手広海岸では13日昼ごろ、地元のサーファーがクジラの死骸が漂着しているのを見つけて興会長に連絡。同日夕方、波打ち際の死骸を狙って近付く危険なイタチザメが目撃された。町は14日、重機でクジラを浜に移し、海岸近くのシャワー施設を閉鎖。地元サーファーは看板を立ててサメに注意するよう呼び掛けた。

 

解剖作業には地元住民や関係者ら約30人が協力した。クジラは体長4㍍の雄の成体。背や腹にサメにかまれた複数の跡が確認されたが、死んだ後のものとみられ、死因は分からなかった。腐敗は進んでおらず、死後1週間以内とみられる。

 

興会長は「コブハクジラは骨格が特徴的。2年後くらいに掘り返して標本にして、展示するなど活用方法を検討したい」と話した。