<マンスリー原子力施設>高温ガス炉核燃料 英と開発

2023年7月31日 07時30分
東海第二原発(2022年5月撮影)

東海第二原発(2022年5月撮影)

 ★…原子力規制委員会は26日、日本原子力研究開発機構が2024年度末の運転再開を目指す高速実験炉「常陽」(茨城県大洗町)について、新規制基準に適合しているとする審査書を正式決定した。今後は県、同町の事前了解を得た上で、建屋や配管の耐震補強工事などを進める。事前了解が必要でない地盤改良工事は12月にも始める方針だ。
 ★…日本原子力発電東海第二原発(東海村)では19日、管理区域にあるサービス建屋のランドリー室で、乾燥機の制御盤内に焦げ跡が見つかった。原電が原因を調べている。
 ★…原子力機構の東海再処理施設(東海村、廃止措置中)では23日、使用済み核燃料の再処理に伴い発生する放射性クリプトンガスを回収・貯蔵する施設で、内部を負圧(外部より低い気圧)に保つ排風機2台のうち1台が停止し、予備機も作動しないトラブルが起きた。4時間後に予備機を手動で起動。この間、負圧は維持されていたという。機構が原因を調べている。
 クリプトンは保安規定の基準に従って全量を大気中に放出済みだが、施設内に残る放射性物質が外に漏れないよう、負圧での管理を続けている。
 ★…原子力機構は19日、政府が実用化を目指す次世代革新炉の一つ「高温ガス炉」用の核燃料を英国立原子力研究所と共同開発すると発表した。機構が保有する実験炉「高温工学試験研究炉(HTTR)」(大洗町)の運転で蓄積した知見を英国に提供する。
 高温ガス炉では炉心の冷却材にヘリウムガスを用いることで、水を使う従来の原発(軽水炉)より高温の熱を取り出せる。軽水炉用の核燃料はウランを金属の被覆管に収めているが、高温ガス炉用では、より耐熱性の高いセラミック材料でウランを閉じ込める。
 英国は、30年代初めの実証炉(実験炉の次段階)の運転開始が目標。機構は20年から英国との共同研究に取り組んでおり、原子炉本体の基本設計にも加わる。将来的には日本国内での実証炉開発につなげ、核燃料の調達にも役立てたい考えだ。(宮尾幹成)

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