世界エネルギー需要、化石燃料が圧倒的シェアを維持=報告書

世界エネルギー需要、化石燃料が圧倒的シェアを維持=報告書
6月26日、世界的なエネルギー業界団体が公表した年次調査報告書によると、世界のエネルギー需要は昨年1%増え、エネルギー供給に占める化石燃料の割合は82%と、なお圧倒的な支配力を示した。写真は2022年10月、ポーランド・ベウハトゥフの火力発電所から立ち上る煙と蒸気(2023年 ロイター/Kuba Stezycki)
[ロンドン 26日 ロイター] - 世界的なエネルギー業界団体が26日公表した年次調査報告書によると、世界のエネルギー需要は昨年1%増え、エネルギー供給に占める化石燃料の割合は82%と、なお圧倒的な支配力を示した。
報告書は英国に拠点を置くエネルギー研究所がコンサルタント会社KPMGおよびカーニーと共同で発表した。
昨年はロシアによるウクライナ侵攻でエネルギー市場が混乱に見舞われ、欧州とアジアで天然ガスと石炭の価格が過去最高水準に上昇。再生可能エネルギーの発電能力は266ギガワット増と、過去最高の伸びを示したものの、石油、天然ガス、石炭の支配的シェアは揺るがなかった。
エネルギー研究所のジュリエット・ダベンポート所長は「風力と太陽光が一段と強く拡大したが、全体として見れば世界のエネルギー関連の温室効果ガス排出量は再び増えた」とし、「パリ協定の狙いと反対方向に進み続けている」との認識を示した。
報告書の骨子は以下の通り。
<消費>
世界の一次エネルギー需要は約1%増加し、前年の5.5%増から伸びが減速したが、新型コロナウイルスのパンデミックに先立つ2019年水準をなお約3%上回った。
世界のエネルギー消費に占める化石燃料の割合は82%。発電に占める風力・太陽光発電の割合は12%と過去最大だった一方、原子力発電は4.4%減少した。石炭の割合は35.4%と主要な地位を維持した。
<石油>
石油消費は日量290万バレル増加して同9730万バレルとなったが、伸びは前年に比べると減速した。石油生産は日量380万バレル増加した。
<天然ガス>
天然ガスは価格の高騰を受けて世界需要が3%減少したが、一次エネルギー消費に占める割合は24%と、前年に比べてわずかな縮小にとどまった。天然ガス生産は前年比横ばい。
天然ガスの輸入量は、日本が中国を抜いて世界最大となった。
<石炭>
石炭価格は欧州で145%、日本で45%と大幅上昇し、過去最高を記録した。石炭消費は0.6%増加。中国とインドの需要が中心で、北米と欧州は減少した。
<再生可能エネルギー>
水力を除く再生可能エネルギーの伸びは14%と、前年比でやや減速。ただ太陽光と風力の発電能力は266ギガワット増と、過去最大の伸びを示した。
太陽光・風力発電を最も増やしたのは中国だった。
<排出量>
エネルギー関連の世界の温室効果ガス排出量は0.8%増え、二酸化炭素(CO2)換算で393億トンと過去最大を記録した。

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