欧州Stellantis(ステランティス)は2023年7月18日、重要な半導体を長期にわたって安定的に確保するための半導体戦略を発表した。

(写真:Stellantis)
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 自動車業界は、2020年の後半から起こった世界的な半導体不足により、新車の生産が制限された状態が続いている。各社とも販売台数が大幅に減り、対応に追われた。現在の新車1台には何百個もの異なる半導体が使われており、1つのチップが欠けただけで生産ライン全体が止まることもある。電動化や自動運転化、快適機能の進化などにより、今後さらに半導体の重要性は増してくる。そのため、自動車メーカーは半導体メーカーと直接供給契約を結ぶなど、対策が進められている。

 ステランティスの新しい半導体戦略は、半導体データベースの導入、体系的なリスク評価、長期的な需要予測、グリーンリストの導入、重要部品の半導体メーカーからの直接購入などの対策で構成される。

 半導体データベースは、半導体製品の内容について透明性を提供する。体系的なリスク評価は、時代遅れの部品を使い続けないように、積極的に使用リストから排除するために必要だとする。長期的な需要予測は、半導体メーカーや開発企業との供給契約をサポートする。グリーンリストは、使用する半導体の多様性を減らし、将来の半導体不足に備えてステランティスが割り当て量を管理できるようにする。

 半導体メーカーからの直接購入に関してステランティスは、ドイツInfineon Technologies(インフィニオン テクノロジーズ)、オランダNXP Semiconductors(NXPセミコンダクターズ)、米onsemi(オンセミ)、米Qualcomm(クアルコム)といった半導体プロバイダーとの連携を開始した。また、買収したハンガリーのaiMotiveや、台湾鴻海科技集団との合弁会社SiliconAuto(シリコンオート)を通じて、独自の半導体を開発する計画である。

 これまでに締結した半導体供給契約では、2030年までの購入額が100億ユーロを超えている。この中には、電気自動車(EV)に使われるSiC MOSFET、電気・電子プラットフォーム「STLA Brain」のコンピューティング部分に使われるマイクロコントローラーユニット(MCU)、車載インフォテインメント機能や運転支援機能を司るSoCなどが含まれる。