ケリー米特使、気候変動問題で中国と集中協議へ-COP28見据えて
Jennifer A Dlouhy-
北京での3日間の中国側との協議は新たな全面的合意には至らず
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中国は炭素排出削減の道筋を独自で決定、他国に追随せず-習主席
ケリー米大統領特使(気候変動問題担当)は19日、米中両国が地球温暖化対策という共通の使命において「新たな境地を切り開く」にはもっと多くの時間が必要だとの考えを示した。北京で3日間にわたり行われた中国側との協議は、新たな全面的コミットメントには至らなかったものの、石炭火力発電を削減する必要性を巡る連携で進展が見られた。
ケリー氏は協議終了後のインタビューで、11月にアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開かれる国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)に向けて米中両国が協議のスケジュールを「加速」し、「今後数週間で集中的に取り組む」ことで合意したと明らかにした。
当初の協議は石炭火力発電の使用削減に向けた再生可能エネルギーの統合が焦点となる予定だとケリー氏は指摘。パリ協定に基づく2035年の排出削減目標を達成するための土台を築く中、両国は二酸化炭素(CO2)やメタンなどの温室効果ガス排出へのより良い対応策を見つけることにコミットしているとした。
今週行われたケリー氏と中国側の気候変動担当特使である解振華氏との会談は、米中関係をリセットし、気候問題の進展を図る好機となった。1年前のペロシ米下院議長(当時)の台湾訪問を受け、地球温暖化問題を巡る米中間の取り組みや作業部会などの協力は停止していた。
ケリー氏は、「重要な行動に結び付かない」共同声明を急いで出すことを交渉担当者らは望まないとして、目標は「現実的で説得力のある」何かをすることで、「単に書類に言葉を並べるだけではない」と述べた。
中国の習近平国家主席はCO2排出量削減について、独自にその道筋を決定すると強調した。国営中央テレビ(CCTV)が18日、環境保護に関する会議での習氏の発言として報じた。
習氏は、30年までに炭素排出をピークアウトさせ、60年までに排出を実質ゼロにするカーボンニュートラルを実現するという目標の達成に向けた中国の決意は揺るぎないと言明。ただ、この目標達成への道筋、方法、ペース、力の入れ具合は「われわれ自身が決めなければならず、決して他国に影響されることはない」と語った。
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原題:Clock Runs Out as US-China Climate Talks End Without Grand Pact(抜粋)