NEW2023年03月30日

電力料金が安くなる 再エネ賦課金とは

物価高騰で何かと話題になる電気料金。電力大手が値上げの申請をしていますが、5月に請求される分から引き下げられるということです。どうも「再エネ賦課金」というものが関係しているようです。なぜ値下げになるの?エネルギー担当の佐々木悠介記者教えて。

5月に請求される電気料金が安くなると聞きました。

はい。

確かに平均的な家庭(月400キロワットアワー使用)で前の月より820円安くなります。

これは再生可能エネルギーの普及のために電気料金に上乗せされている「再エネ賦課金」が改訂されるからです。

佐々木記者
佐々木記者

再エネ賦課金って何?

再生可能エネルギーの普及のため、太陽光や風力などで発電された電力は、大手電力会社が一定期間決まった価格で買い取っています。

買い取りにかかった費用が再エネ賦課金として毎月の電気料金に上乗せされているんです。

この制度は2012年度から始まり、年度ごとに賦課金の額は変わります。

当初は、平均的な家庭の賦課金の額は月88円でしたが、今年度は1380円と15倍以上に増えています。

佐々木記者
佐々木記者

15倍!ずいぶん上がっているんだね。

それが来年度から安くなるの?

そうです。

2023年度の単価が決まり、平均的な家庭の負担額は月560円になります。

2022年度が1380円ですから、差し引きして820円安くなるという計算です。

賦課金の額が減るのは制度が始まって以来初めてです。

なぜ減ったかというと、ロシアによるウクライナ侵攻が影響しています。

電力会社は太陽光や風力などで発電された電気を買い取り、市場で売却しています。

これまではその売却価格が低かったため、われわれが支払う再エネ賦課金の額が増えていました。

ところがウクライナ侵攻のあと、電気の取り引き価格は高騰しています。

このため太陽光や風力などで発電した電気も高く売れるようになり、それが再エネ賦課金の引き下げにつながっているんです。

佐々木記者
佐々木記者

負担が少なくなるのはいいことだけど、電力会社は値上げを申請していたよね。

今後電気料金はどうなるの?

政府は、2月請求分から平均的な家庭で毎月の電気料金を3000円程度引き下げる負担軽減策を行っています。

これに加えて、今回の再エネ賦課金の改定で、5月請求分から820円下がることになります。

ですので料金が引き下げられる前の1月請求分と比べると、5月請求分は単純計算で4000円近く値下げされることになります。

ただこの状態はいつまでも続きません。

電力大手10社のうち、北海道電力、東北電力、東京電力、北陸電力、中国電力、四国電力、沖縄電力の7社は料金の値上げを国に申請しています。

当初の申請段階での値上げ幅は28%あまりから45%あまり。

早ければ4月請求分から値上げされる可能性がありましたが、値上げを審査する経済産業省の委員会は、各社に対して燃料費などを算定し直すよう求めています。

申請時に比べてLNG=液化天然ガスなどの輸入価格が下落傾向にあるためです。

これを受けて、電力会社は算定し直している段階で、4月からの値上げは先送りされることが確実です。

このためしばらく値下げの恩恵を受けることができそうですが、夏にかけて再び電気料金が値上げされる可能性は高いと思います。

佐々木記者
佐々木記者