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『海がきこえる』『海がきこえるⅡ アイがあるから』新装版
氷室冴子 著
徳間書店 刊
2022年7月8日/2023年7月7日 発行
定価880円/1,045円(ともに税込)
330ページ/322ページ
対象:中学生から

傷つきやすく、それでいて誰よりも強がりだった10代のあの頃ーー

挑むような視線を向ける表紙の少女。武藤里伽子が「ぼく」こと杜崎拓の暮らす高知の高校に編入してきたのは、5年生の秋だった。成績優秀で自分勝手、勝気な里伽子は、両親の離婚で連れてこられた高知を毛嫌いし冷めた態度を崩さない。奔放な里伽子に翻弄される拓だが、大学進学で上京したある日、とある場所で彼女と再会して……。

里伽子の人知れない孤独と脆さ、そしてどこまでもまっすぐな姿と、そんな彼女にひかれていることに気づく拓。若者たちの心の機微と人間模様を見事に描いた氷室冴子の傑作が新装版となって再登場しました。
スタジオジブリの同名のアニメーションの原作でもあり、新装版には『海がきこえる』と続巻『海がきこえるⅡ』ともに、ジブリでキャラクターデザインを担当する近藤勝也氏のカラーイラストを収録しています。読んで楽しい、眺めてうれしい、まさに唯一無二の1作です。

誰もが経験したことがあるような既視感を覚えるストーリーは、当時、若者をはじめとした多くの女性から絶大な支持を得ていた氷室冴子の筆力と感性の豊かさならでは。読める作品は少なくなってきているものの、平安時代を舞台に破天荒な姫の恋愛を描いた『なんて素敵にジャパネスク』(集英社コバルト文庫)やエッセイ集の数々にもぜひ手を伸ばしていただきたいと思います。

里伽子や拓を「青くさい」などとせせら笑うような大人にならなかった、しっかり心を揺さぶられた私がいました。 (い)

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