風力発電が太陽光上回る 協会が2050年試算 経済波及効果は6兆円

岩手県内の風力発電所
岩手県内の風力発電所

日本風力発電協会は29日、2050年時点で全体の電源構成の33%(約4500億キロワット時)を風力発電で賄い、太陽光(31%)を上回るとする試算結果を発表した。令和4年実績(速報値)の風力0・9%、太陽光9・9%から大きく上昇し、風力が太陽光を凌ぐと見通した。政府の2030年計画の風力5%、太陽光14~16%から大きく前進するとしている。

また、風力発電導入による関連産業や地域などへの経済波及効果は6兆円、雇用創出効果は累積で35・5万人、化石燃料調達削減効果は年間2・5兆円とも試算した。政府は今後、同協会の試算も参考に、50年に向けたエネルギー政策を具体化していく方針だ。

同協会によると、50年の風力発電容量は140ギガワットに達すると予測。そのうち、風車を海面に浮かべ、チェーンなどで海底に係留する浮体式洋上風力が60ギガワットを占め、陸上風力(40ギガワット)を超えて風力発電の主力方式になるとした。

浮体式は、海底にくいを打つ着床式よりも環境への負荷が少ないなどのメリットがあるとされる。世界での導入実績が少ないことから、日本が積極的に導入を進めて実績を積み上げれば、世界での優位性を確立できるとも期待されている。

政府は、四方を海に囲まれる日本で、洋上風力は再生可能エネルギーの主力電源化に向けた「切り札」と位置づけており、30年に発電電力量の5%を風力で賄う計画を示している。(西村利也)

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