今村昌平と今村映画が好きだとただひたすら語る

今村昌平が大好きでして。
あ、映画監督です。
『楢山節考』の。
大好きすぎて、ふとした時によく思い出します。

大好きでしてとか書いていますが、
初めて観たときは衝撃でした、衝撃というか、凍りました。
こわかった。
なんだろうな、みてみぬふりをしていたものをすべて並べられた感じ?
人間の、みたくない部分も、いや、みたくない部分を「これでもか!」と見せられた感じ。

私は普段舞台でも芝居でもストーリーの「ネットでのネタバレ」が大嫌いで、
普段いろんな怒りを押し殺している(いや押し殺せていないけど笑)私が
「ネタバレ禁止法」っていう法律があって罰せされたらいいのにと思っている。
でも有名な映画だし、今回はちょっと書かせてね。
あ、で、まだ観ていない人は読まないでね、てか、是非観て、観てからにしてね。
という前置きはともかく、

なんといっても、
なんかもう監督のすべてが行きついた『楢山節考』。

年寄りは山に捨てられるねんで!
ほらみろ、山はしゃれこうべだらけやで!
情だとかなんだかんだ言っても捨てなあかんねんで!
で、捨てて帰ったらまたひとり新しい命が増えてるねんで、口減らしのために捨てたのに!
見ろ。食べ物盗んだ家族は生き埋めにされるねんで!
謎の一体感連帯感で悪者一家を土の穴に埋めるねんで!
長男以外はイラン子やねんで!
イラン子の臭う子は性欲のはけ口すらなくて犬を相手にするねんで!

歯を折るべく岩にぶつけて口血まみれになる坂本スミ子。
もう困った困ってる村に来る超ふくよかでよく食べそうな超健康そうな嫁(あき竹城)。
清川虹子の裸。

見ろ。蛇。蛙。人間も動物やで!!!

そして、大好きな『うなぎ』。
『復讐するは我にあり』(大好き。好きすぎる)なんて撮ってた今村監督が、
おじいちゃんになって、でも、おじいちゃんになっても枯れない、けどちょっとマイルドになった?! でもなっていない!!作品。
だって、タイトル、「うなぎ」やで。
もう意味深やん。
これ、いろんな人に薦めたいとずっと言っています。
『復讐……』と共に。
是非YouTubeで予告編だけでも。これだけでもなんとなくヤバさがわかるかと。
まともな人出てこない。いや、まともな人なんか居ないのかもしれない。極論。
ハッピーエンドじゃないけどハッピーエンド?
ハッピーエンドじゃないけどハッピーエンド?
「これが人間だ!」(でもマイルド)

監督の作品には「これが人間だ」だからこそ
裸と性描写もめちゃくちゃ多くて、
しかもなんかあきらかに監督の好みというか性癖というかが表れているような?
いや、そんなことないのか。より「人間!!」「人間らしい」が求められたのかな、とも思う。
出てくる登場人物たちとそれを演じる役者たちは
女性も男性もなんかもうめっちゃ生に満ち満ちた人が多く。
女性も男性も性的な魅力生的な魅力むんむんな人が多く、
凍りながらもお腹いっぱいになるけど、皆、たまらなく素敵で。
ああ、『復讐……』の緒形拳に抱かれたい。『うなぎ』の役所広司もたまらんなあ。
という私の性癖(?)もともかくとして。

人間は、ひたすらに生きていて。
うつくしくない。
どうしようもない。
完全な善も悪もいない。
情だの感情だの言ったり振り回したりしているが、動物で、
いや、情だの感情だの理屈だの言っているからこそ、
家族だの繋がりだの言っているから、より、厄介でややこしいのかもしれなく、
滑稽で、でもその姿、人間というものはおろかだけれど愛おしい……
いや愛おしいと思っているかわからないくらいの感じですが、
私にはこの人はそんなことを思っているように感じてなりません。
そんなことを言いたくて、と、とてつもない人間への変態的なまでの興味と好奇心で、
作品を作り続けたのではないかなあと思っています。

はじめてみた大学生くらいの頃、
まだ頭でっかちのまだクソガキだった私は、
この人の作品たちを凍りながら、でも、目が離せずに、
夜中のテレビ前でTUTAYAで借りてきたDVDで観、衝撃を受けました。
「重喜劇」という言葉も知り、感銘を受けました。
当時凍えていた私も、その後、言えるようなことも言えないようなことも体験して、
もう決して若くはなくなったからこそ、
また今観返したいなあ、体力落ちてるから一気見はちょっとヘビィかもやけど、
とも思います。

なんてことをつらつら呟きたくなったのは、
先週の『金曜ロードショー』にてやっと地上波でお披露目された
ポン・ジュノ監督の『パラサイト』がきっかけです。
私この映画もめちゃくちゃハマりました。
先日もつぶやきましたが映画館で観て
「うおー!! なんでこんなん作れるんや! すげー!!!」とテンションがあがりすぎて
しばらく冷めなかった作品です。
すべてが完璧というか。
あまりこういう言い方はしませんが、観た人たちとこの映画を語り合う会がしたいと思ったほどに。
そんな『パラサイト』を地上波で観た人たちのSNSでの感想を読むのもめちゃくちゃ面白かった!
面白がる人感心する人は勿論、
「無理。でも目が離せない」みたいな人も居て、
かつてのええ歳なのに幼かったから今村映画へそんな感想を持った自分自身のことも思い出しました。
ポン・ジュノ監督は今村映画にとても影響を受けた、と受賞後のコメントで読み、とてもテンションが上がったとともに、なんかすごく納得をした。
さらに彼をはじめとする韓国映画界の監督たちが何人も今村作品、
中でも『復讐するは我にあり』から影響を受けている、と。ああ、うん、もぉ(以下略)。

人間を信じたい。
こんなご時世だからこそ。
でもこんなご時世だからこそ、
人間が信じられなくなることも少なくないよね。
え、私だけ?
ではないとも思っています。
旅芝居を濃く追っていた(過去形ではないが)時も
そんなことが多々ありました。
あまりにゲンジツすぎて(笑)
でもやっぱり人間は信じられないけど信じたい、
自分を含め人間って、愚かで、うざくて、きもちわるくて、
でもそれでも生きてる、皆生きてる。
あの頃、凍りながらも目が離せず、
なんだかんだひねくれながらも人間讃歌な作品たちを生み出し、
後世に残してくれた今村監督とその映画の影響は、
ただ観ている1客だけれど、なんだか、ちょっと、受けているような気もしたりしています。

皆、生きようね。生きるんやで。
なんのこっちゃわからなくなりましたが(笑)
日々、映画よりもえぐいことばかりが起こる昨今、めっちゃ、思います(真顔)

どうでもいいけど、
かつて私の物真似レパートリーは
『七人の侍』の菊千代(ミフネ)と
この『楢山節考』の緒形拳×坂本スミ子のお山での別れのシーンです。
それがどうした。いや、それ程強烈だったというだけ(笑)



過去Blogにも何度も。いくつか貼る。


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