年明けに「国境再開」の中国、旅行サイトへのアクセス殺到 新規パスポート申請も再開

A person is pictured wearing a mask in front of a passenger airplane landing in Beijing, China

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画像説明, 北京に着陸する旅客機

中国は来年1月8日から入国時の新型コロナウイルス対策の隔離措置を終了し、国境を再開することになった。この発表を受け、旅行サイトには、海外渡航を待ち望んでいた中国の人々のアクセスが殺到している。

入国管理当局によると、新規パスポートの申請も来年1月8日から再開される。

中国は26日、入国時に義務づけていた隔離措置を約3年ぶりに解除すると発表した。

複数の旅行サイトはアクセス数が急増しているとしている。

ただ、中国人旅行客はすべての国に自由に渡航できるようになるわけではない。

中国人旅行客に特に人気の高い渡航先の1つの日本は27日、中国からの渡航者について新型ウイルスの水際対策を強化すると発表。30日から入国時の検査を義務づけ、陽性で有症状の場合は7日間、無症状の場合は5日間の隔離措置をとるとしている。

これは、中国が7日に厳しい「ゼロコロナ」政策を大幅緩和して以降、感染者が急増していることを受けての措置となる。

インドも中国からの渡航者に対し、入国時に陰性証明を求めている。ただこれは、中国の「ゼロコロナ」政策の緩和以前に発表されていた。

中国の渡航規制の緩和は、同国の「ゼロコロナ」政策の緩和の最終段階にあたる。

Travellers walk with their luggage at Beijing Capital International Airport

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旅行サイトへのアクセス増加

中国は27日、1日あたりのフライト数の上限も撤廃した。

マーケティング・ソリューション企業「ドラゴン・トレイル・インターナショナル」によると、これまでは国外への団体旅行やパッケージ旅行の販売は禁止されていた。

中国メディアは旅行サイト「Trip.com」のデータを引用し、27日の国境再開の知らせを受けてから30分で、人気のある目的地の検察件数が前年比10倍になったことが示されたと伝えた。

特に人気があったのはマカオや香港、日本、タイ、韓国だった。

中国の旅行情報サイト「チューナー」では、発表から15分で、ウェブサイトでのフライトの問い合わせが7倍に増えたと、国営英字新聞チャイナ・デイリーは報じている。

データサイト「スタティスタ」によると、2019年に中国から海外に渡航した人の数は1億5500万人だった。パンデミックが始まった2020年には2000万人にまで落ち込んだ。

「ゼロコロナ」政策緩和後に感染増加

こうした中、中国は新たな感染の波に対処している。

中国では厳しい「ゼロコロナ」政策をめぐり、11月に習近平国家主席に対する異例の抗議行動が起き、中国政府は全土で政策を大幅に緩和した。

しかしその後、感染者が増加。病院がひっ迫し、薬が不足していると報告されている。

中国は来年1月23日に春節(旧正月)を迎えるが、国内では様々な反応がみられる。

感染が急増する中での国境再開に懸念を示す人もいる。

冬場に特に気温が落ち込む北京や上海などの人々は、インフルエンザや風邪の薬が足りなくなりつつあるとしている。

また、火葬場がひっ迫し、何百人もの死者が報告されない可能性があるとの懸念もある。

当局は新型ウイルスによる重症化を抑えるため、米ファイザー製の新型ウイルス経口治療薬「パクスロビド」を北京で配布する計画だという。しかし、英字紙の環球時報(グローバル・タイムズ)が27日に複数の保健所に問い合わせたところ、パクスロビドはまだ届いていないとの回答があった。

習近平国家主席は27日、こうした変更について初めて言及し、命を救うために「実現可能な」対応を取るよう当局者に呼びかけた。

中国の政策転換は、習氏を厳しい立場に追い込んでいる。「ゼロコロナ」政策を推進した習氏は、市民生活を過度に制限し、経済を麻痺させたと多くの人から非難された。

その「ゼロコロナ」を放棄した今、習氏は感染者や入院患者が急増した責任を取らなければならないと、アナリストたちは指摘する。なぜこの国はもっとしっかりした備えができなかったのか、大勢が疑問視している。