IAEA調査団 原発処理水報告書前の最後の調査終了

東京電力福島第一原子力発電所でたまる処理水を基準を下回る濃度に薄めて海に放出する計画をめぐって、安全性の評価を行っているIAEA=国際原子力機関の調査団は、包括的な報告書をまとめるのを前に行っていた最後の調査を終えました。

IAEAは、日本政府の要請を受けて、国際的な基準に照らし計画の安全性を評価するため、去年2月からイギリスや中国、韓国など各国の専門家で構成する調査団を、たびたび日本に派遣しています。

今回の調査では、先月29日から、都内で日本側の政府関係者などと協議したほか、2日福島第一原発を訪れ、放出に使う設備の整備状況などを確認したということです。

経済産業省によりますと、当面、追加の調査の予定はなく、IAEAはこれまでの調査をもとに、放出開始前の包括的な報告書をとりまとめるということです。

報告書の公表時期について、IAEAはこれまで、今月までの見通しと日本側に伝えていましたが、今回は明言しなかったということです。

またIAEAは、去年の調査で回収した処理水のサンプルを、各国の研究所で分析し東京電力の分析結果と比較した結果を5月31日公表しました。

この中では、東京電力の処理水の管理について「放射性物質を測定する高い水準の正確性と技術的能力が証明され、分析方法も適切だ」などと評価しています。

日本政府は、福島第一原発にたまるトリチウムなどの放射性物質を含む処理水について、基準を下回る濃度に薄めた上で、ことし夏ごろまでに海への放出を始める方針で、IAEAの評価結果を元に国際的な情報発信を進めるほか、地元の関係者にも説明し、理解を得ていきたいとしています。