山口県庁Photo:PIXTA

関西・中部・九州・中国の大手電力4社が絡んだカルテル事件で、公正取引委員会は3社に過去最高の約1010億円もの課徴金納付を命じた。実は、事件の余波は地元自治体にも及んでいる。電力大手と地元自治体は歴史的にも密接なステークホルダー(利害関係者)であるためだ。株主代表訴訟には動くのか――。長期連載『エネルギー動乱』では、前代未聞のカルテル事件を起こした電力各社への対応を迫られる自治体系株主を取り上げる。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

1010億円もの課徴金納付命令を受け
カルテル事件の地元自治体はどう動く?

 関西電力、中部電力、九州電力、中国電力の4社が絡んだ巨額カルテル事件で、公正取引委員会(公取委)は3月末、関電を除く3社に過去最高となる合計1010億円もの課徴金納付を命じた。

 公取委によると、事件の構図はこうだ。

 関電を扇の要にして、関電と中部電、関電と九電、関電と中国電との間で、それぞれ法人向け電力小売りなどで独占禁止法違反(不当な取引制限)行為があった。要するに公取委は、大手電力が互いのエリアにおける「相互不可侵協定」を結び、電気料金をつり上げたと判断したわけだ。

“主犯”の関電は公取委の立ち入り検査前に自主申告したため、課徴金は全額免除された。一方、課徴金納付命令が下った3社のうち、中国電が最大額の707億円。他、中部電が275億円、九電が27億円となった。なお、中国電は会長、社長の引責辞任を発表している。

 中部電は、処分を不服として即座に取り消し訴訟を起こすと発表した。本稿執筆時点では、中国電、九電も取り消し訴訟の提起を検討している。

 カルテル事件で処分を受けた大手電力の動向は引き続き注視する必要があるが、実はがぜん注目が集まってきているのが地元自治体である。

 大手電力会社にとって歴史ある密接なステークホルダー(利害関係者)だからだ。次ページでは、今回処分を受けた大手電力と地方自治体の関係性とともに、株主として自治体が動く可能性を明らかにする。