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 使用電力の2割を太陽光発電システムで、8割を純水素型燃料電池(以下、燃料電池)で賄い、余剰電力を蓄える蓄電池を補助役にして消費電力を100%再生可能エネルギーで賄う——。パナソニックは同社草津工場に設けた「H2 KIBOU FIELD」でこんな実証実験を実施している(図1)。

H2 KIBOU FIELDの全景
H2 KIBOU FIELDの全景
約6000m2の敷地に5kWの燃料電池を99台、315Wの太陽光パネルを1820枚、約1.1MWhの蓄電池を配置。ここで発電した電力によって、同じ草津工場内にある燃料電池工場で消費する電力を全て賄う。(写真:パナソニック)
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 同施設は2022年4月15日から稼働。燃料電池の運用を含めたエネルギーマネジメントに関するノウハウやデータを蓄積し、自社工場への水平展開と、併せて他社に同様の「100%再エネ」ソリューションを提供する事業の構築が狙いだ。パナソニック エレクトリックワークス社 電材&くらしエネルギー事業部 環境エネルギーBU 水素事業企画課課長の河村典彦氏は、「燃料電池工場の電力需要をH2 KIBOU FILEDで生み出した電力でほぼ100%賄っている計算になる」と話す。

 同社は2019年、事業活動で消費するエネルギーを再生可能エネルギーで100%調達するのを目標とする国際的企業集団「RE100」*1に加盟。2022年には、2030年に自社の二酸化炭素(CO2)排出量の実質ゼロ化を目指すなど、独自の環境行動計画「GREEN IMPACT PLAN 2024」を策定している。H2 KIBOU FIELDの設立・運用はその一環だ。

*1 RE100:Renewable Energy 100%。事業活動で消費するエネルギーを100%、再生可能エネルギーで調達するのを目標とする国際的企業集団。RE100に加盟すると、環境問題に取り組む先進企業として認められるメリットがある。事業運営を100%再エネで賄うと宣言する必要がある。

 「米Apple(アップル)が取引工場に対して、2030年までに100%再生可能エネルギーで事業を行うよう求めると宣言した。この宣言への対応という意味も大きい」(河村氏)