経済産業省は、先端半導体の製造に不可欠な製造装置23品目について、輸出規制を強化する。西村康稔経済産業相は「特定の国を念頭に置いたものではない」と強調したが、米国からの要求を受け、中国による兵器開発への転用防止で歩調をあわせたことは明らかだ。中国は独自に技術開発を進め日米に対抗するとみられるが、正攻法で挑んでくるとはかぎらない。関連技術を保有する企業を中心に、サイバー攻撃や産業スパイへのさらなる対策が求められる。
経産省は外為法の省令を改正する。パブリックコメント(意見公募)を踏まえ、7月の施行を目指す。微細な回路パターンを基板に焼き付ける露光装置や洗浄、検査に使う装置が対象で、これらの装置を作る日本企業は約10社。製造装置大手の東京エレクトロンなどの事業が制約を受ける可能性がある。
日本の2022年の半導体製造装置の輸出額は約2兆6500億円で、うち中国向け輸出は約8200億円とシェアは3割。ただ、今回の措置では、輸出量が多い非先端品向けの製造装置は対象ではない。米国が規制を強化した昨秋以降、中国では外国企業の設備投資など先端半導体製造の動きがすでに停滞しており、規制による日本企業への影響は限定的との見方もある。