小型モジュール炉の技術コンペを開始、原子力分野への資金提供も発表

(英国)

ロンドン発

2023年07月21日

英国政府は7月18日、原子力発電の小型モジュール炉(SMR)に関する技術コンペティションの開始を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。英国の原子力産業を支援する政府の新組織「グレート・ブリティッシュ・ニュークリア(GBN、注)」が主導する。SMR開発に関する政府の資金援助を希望する企業は、同日からコンペに登録可能となった。技術基準を満たす企業は、GBNと開発に関する詳細な協議に入る。初期選定は今秋に実施される予定。コンペ全体を通じて、英国でのSMRプロジェクトに数十億ポンドの官民投資が行われる可能性がある。

政府によれば、SMRは従来型の原子炉とは異なり小型であるため、工場での製造が可能で、建設の迅速化、コストの削減につながり、これまでの原子力発電所の建設方法を変える可能性があるとしている。一方、政府は、現在建設が進むヒンクリーポイントCおよびサイズウェルCの両原子力発電所プロジェクトに対しても取り組みを継続し、英国のエネルギーミックスにおける大型の原子力発電所が果たす役割をGBNとともに検討するとしている。英国政府は、2050年までに電源構成における原子力発電の割合を25%とすることを目標に掲げている。

原子力関連ビジネスへ資金提供を決定

併せて政府は、英国における原子力関連ビジネスを支援するため、総額約1億5,700万ポンド(約282億6,000万円、1ポンド=約180円)の資金提供を実施することも発表した。支援の対象となる分野は次のとおり(添付資料表参照)。

  • SMRと革新モジュール炉(AMR)に係る原子力事業開発の加速と設計の規制手続き支援(7,710万ポンド)
  • AMRと次世代原子燃料の設計・開発支援(5,800万ポンド)
  • 原子燃料の脱ロシアに向けた製造能力開発プロジェクト(2,230万ポンド)

(注)英国政府が2022年4月に発表した「エネルギー安全保障戦略」において、英国の原子力開発の加速に向けた新たな政府の組織として設立が計画されたもの。

(菅野真)

(英国)

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