<マンスリー原子力施設>核融合実験施設 運転再開へ

2023年4月30日 07時41分
東海第二原発

東海第二原発

 ★…量子科学技術研究開発機構の那珂研究所(那珂市)は今月、核融合発電の実用化に向けた新たな大型実験施設「JT−60SA」の試験運転を5月中に再開すると発表した。年内には、1億度以上の「プラズマ」を強力な磁場の中に閉じ込め、燃料の水素が核融合を起こすのに必要な条件を持続させることを目指す。
 「JT−60SA」は、日本と欧米、中国などが参加する国際熱核融合実験炉(ITER、フランス)計画と並行したプロジェクト。2020年3月に組み立てを終えたが、磁場を発生させる超電導コイルのトラブルなどで、プラズマの達成は延期が続いている。
 ★…日本原子力研究開発機構は3月末、ポーランド国立原子力研究センターと、高温ガス炉の安全設計に関する研究協力契約を締結したと発表した。原子炉停止時に用いる「残留熱除去系」などの基本設計で協力し、大洗研究所(大洗町)にある高温工学試験研究炉(HTTR)の建設や運転で培った技術の高度化を図るとしている。
 両者は昨年11月締結の契約に基づき、燃料や炉心の基本設計でも協力。今回の契約はそれに続くものだ。
 ★…今月、県内の原子力施設で火災が3件続いた。今年に入り通算6件。
 原子力機構の核燃料サイクル工学研究所(東海村)では10日、非管理区域で従業員の自家用車から出火。三菱原子燃料の東海工場(同)では12日、社員食堂で鍋を保温する機器のプラグに焦げ跡が見つかった。
 原子力機構と高エネルギー加速器研究機構が共同運営するJ−PARCセンター(同)でも25日、地下に管理区域へつながる通路がある建物内で、電源盤の変圧器から出火した。
 ★…日本原子力発電と原子力機構の発表によると、東海第二原発(東海村)で4月10日〜16日に1人、機構の県内の研究施設などで3月27日〜4月23日に計14人の新型コロナウイルス感染が判明した。いずれも、原子炉や核燃料物質などの安全管理に影響はなかったという。(宮尾幹成)

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