電力高騰で相次ぐ新電力の撤退 リスクを避けた会社の共通項は

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山本恭介
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 ウクライナ危機による燃料価格の高騰や円安の影響で電気料金の値上げが続くなか、電力事業者の間で損失を回避するための「電力先物取引」が注目されている。自前の発電所を持たない新電力では電力の仕入れコストが膨らんで倒産や撤退が相次ぐ一方、先物取引を使った電力会社の大半は事業を維持できている。先物取引は電気料金危機の救世主となるのか。

 埼玉県秩父市近辺の公共施設や個人に再生可能エネルギーの電気を中心に供給する「秩父新電力」は、電力先物取引をうまく活用した新電力の一つだ。

 昨春のロシアによるウクライナ侵攻で電力価格が高騰した際にも、購入していた電力先物のおかげで、黒字を確保できた。今冬は一部の割引は廃止するが、電気料金は据え置くという。

 2016年の電力小売りの全面自由化で増加した新電力は、自前で発電所を持たず、卸電力市場からの調達に頼る事業者が多い。いかに調達コストを抑えられるかが経営を左右する。

 ウクライナ危機で調達コストが上がる中、注目されているのが電力先物取引だ。将来のある時点で、特定の価格で電力を買う約束をする取引で、これをうまく使えば、価格の変動による大きな損失のリスクを減らすことが可能になる。

高騰する調達コスト、先物の利益で相殺

 例えば、新電力会社が卸電力…

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