第7回「新制度、電力会社は大変」初代原子力規制委員長、田中俊一氏の見方

有料記事原発回帰の行方

聞き手・福地慶太郎
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 2011年の東京電力福島第一原発事故を教訓に定められた、原発の運転期間を原則40年、最長60年とする規制ルールが変わろうとしている。60年超運転が可能になる一方、原子力規制委員会は運転開始30年から10年ごとに安全審査をする方向だ。現行ルールが変わることについて、初代の原子力規制委員長の田中俊一氏(78)に聞いた。

 ――これまで、(原発の運転期間として規定されている)「40年」という期間について、技術的な根拠、科学的な根拠がないという見解を示されています。

たなか・しゅんいち 1945年生まれ。67年、東北大工学部卒、日本原子力研究所(現・日本原子力研究開発機構)入所。日本原子力学会長、内閣府原子力委員会委員長代理を歴任。2012年9月、原子力規制委員会の発足に伴い、初代の委員長に就任。17年9月まで務めた。

 「根拠は何だと聞かれて、そんなものは一言で答えられないですよ。あれだけの施設ですから。当然、メンテナンスすりゃ、どんな車だって走る。逆に、40年に満たなくても、だめなものはだめなんだから。それで、規制委は30年たつと10年以内ごとに厳しい検査をする(という新しい安全規制の案を出してきた)」

運転期間40年の意味

 ――規制委員長就任直後の会見で「40年というのは、一つの技術の寿命としては、結構、そこそこの長さだ」という見解を示されていました。

 「世界中で40年を超して運転している原発はいっぱいあるわけですから。そういう経験も踏まえて、だいたい40年っていうことを政治的にも決めたし、まあまあそんなところかなと」

 ――この時の会見では、40年経つと(炉の設計が)古くなってきてしまうから、必ずしも十分ではないところがあるとおっしゃっていました。

 「40年前の炉は、やっぱり…

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