<マンスリー原子力施設>「常陽」運転再開 1年半遅れに

2023年8月31日 07時50分
 ★…日本原子力研究開発機構は18日、茨城県大洗町にある高速実験炉「常陽」の運転再開時期が2025年3月から1年半程度遅れ、26年度半ばになると発表した。原子力規制委員会の審査結果を受け、追加の安全対策工事が必要となったためとしている。機構によると、火災対策としてケーブルを燃えにくくするほか、地震時に配管が揺れないよう支持装置を設置する。
 常陽は1977年に運転開始。2007年から原子炉内装置のトラブルで停止している。機構は17年3月に運転再開に向けて規制委に審査を申請し、今年7月に適合した。
 ★…日本原子力発電東海第二原発(東海村)では、安全性向上対策として地下に設置を進めている代替淡水貯槽の容器が完成し、地下への埋め戻しを完了した。緊急時に原子炉や格納容器、使用済み核燃料プールに注水するための施設で、貯水槽は高さ約30メートル、容量約5000立方メートル。注水のためのポンプ室と配管用のコンクリート製の通路が付随し、配管用通路もほぼ完成した。
 ★…原子力機構の東海再処理施設(東海村、廃止措置中)では19日夜、使用済み核燃料の再処理で残る放射能レベルの高い廃液をガラスに混ぜ込んで固め、保管する施設で、内部を負圧(外部より低い気圧)に保つ排風機が停止し、予備機に自動で切り替わった。原因は電動機の故障で、電動機を交換し約16時間後の20日午後2時45分に復旧した。この間、負圧は維持されていたという。
 ★…東海再処理施設では4日、高放射性廃液貯蔵場に、施設の廃止措置に伴う洗浄作業で出た廃液を受け入れた。12日朝には、中央排水処理場の機械室で警報音が鳴った。火災に似た警報音だったが、施錠されている場所のため警備員による確認が難しく、消防に通報した。消防隊員が現場に入ったところ、処理水槽の水位が高くなった際に鳴る警報が制御盤の故障により誤作動したと判明。火災も起きていなかった。(加賀大介)

関連キーワード


おすすめ情報

茨城の新着

記事一覧