ドイツの脱原発が完了、再生可能エネルギー全面移行目指す

[ベルリン 16日 ロイター] - ドイツで15日、最後の原子炉3基が発電のための運転を停止し、2011年の東京電力福島第1原発事故を受けて決めた脱原発が完了した。2035年までに再生可能エネルギーのみによる電力供給を目指す。
当初は昨年夏に脱原発を完了する予定だったが、ロシアのウクライナ侵攻を受けてドイツがロシア産化石燃料の輸入を停止したのに伴い、先送りしていた。
経済省によると、最後の原子炉3基がドイツの総発電量に占める比率は昨年10─12月期に約5%だった。連邦統計局のデータでは、昨年は総発電量に占める原子力の比率が6%なのに対し、再生可能エネルギーは44%を占めていた。
ドイツで15日、最後の原子炉3基が発電のための運転を停止し、2011年の東京電力福島第1原発事故を受けて決めた脱原発が完了した。写真は、最後まで稼働していたネッカーヴェストハイム原発の遠景。2023年4月15日に撮影。(2023年 ロイター/Heiko Becker)
それでも世論調査会社フォルサが10日からの週に実施した調査では、ドイツ国民の3分の2は原発の寿命延長もしくは古い原発の再稼働を支持しており、脱原発を支持する人は28%にとどまっている。
原発支持派は、ドイツが化石燃料による発電を廃止して2045年までに全セクターで温室効果ガスの実質排出量をゼロにする目標を達成したいなら、風力発電と太陽光発電だけでは需要を満たせないため、最終的には原発に回帰しなければならなくなると主張している。
脱原発に反対していた保守系議員5人の1人であるキリスト教民主同盟(CDU)の元議員、アルノルト・バーツ氏はロイターに、脱原発はCDUが政権に入った1949年以降で最も愚かな経済政策だ、との考えを改めて強調した。
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