中国で「グリーンエネルギー」が急増 気候変動対策にプラス効果=報告書

マット・マクグラス、マーク・ポインティング、BBCニュース気候・科学

Solar panels

画像提供, Getty Images

中国で風力や太陽光による発電が急増しているとする報告書が公表された。地球上の二酸化炭素(CO2)排出を、想定をはるかに上回る早さで抑制できる可能性があるという。

独立調査グループ「グローバル・エナジー・モニター」(GEM)の報告書によると、中国でソーラーパネルの設置が急増している。そのペースは、世界の発電容量を2025年までに85%増加させるほどだという。GEMの調査結果は、世界銀行、国際エネルギー機関(IEA)、各国政府なども利用している。

中国は、2030年の達成を目指しているグリーンエネルギー目標を、予定より5年早くクリアする見通しだという。

一方で、石炭を使う火力発電所も増加している。風力や太陽光を利用する発電所の予備としての役割を担っていることが、理由の一部とされる。

中国はしばしば、炭素排出を抑制する世界的な取り組みにおいて、鍵を握る存在とされる。炭素排出は、気候変動の根本原因となっている。

中国の石炭消費は世界最大で、主な用途は発電だ。中国のCO2排出量の約69%は、石炭の使用によるものだ

中国の温室効果ガス排出量
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しかし、今回の報告書からは、中国が風力や太陽光による発電能力を急速に高めていることがうかがえる。そうした発電は、気温上昇の影響を抑えるうえで大きな役割を果たす可能性がある。

報告書は、中国の現在の設備によるグリーンエネルギーに加え、今後2年間に建設予定の設備に関しても予測している。

それによると、中国が大規模プロジェクトで設置したソーラーパネルの数は、世界の他の国々で設置されたものをすべて合わせた数よりも多い。風力発電に関しては、中国は2017年と比べ、発電能力を2倍に伸ばしている。

中国の発電種別の電力供給量
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ただ、これは始まりに過ぎないようだ。GEMによると、中国はこの領域を急速に成長させている。2025年末までには、風力と太陽光の発電容量を2倍以上にする予定だという。

その結果、中国は世界の風力タービンを50%、世界の大規模太陽光発電設備を85%、それぞれ現在より増やすことになるという。

こうした急増は、20年以上前に作られた計画の成果だ。

この20年近くで、中国は世界有数のソーラーパネルの供給元となり、サプライチェーン全体にわたってコストを引き下げた。それにより、中国における太陽光と風力の発電設備の設置は、経済的な競争力をもつに至った。

補助金も一定の役割を果たした。各省にグリーンエネルギー目標の達成を義務づけた規制も、一役買ってきた。

世界では昨年、風力と太陽光の発電に絡んで、計5000億ドル(約72兆円)以上が投じられたが、その55%を中国が占めた。

太陽光発電と風力発電の伸び
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習近平国家主席は2020年、中国の太陽光と風力による発電について、2030年までに1200ギガワット以上にすると表明した。今回の報告書によると、この目標は予定より5年早く達成されそうだという。

報告書の著者の一人、マーティン・ワイル氏は、「再生可能エネルギーの急増は、(中国の)炭素排出を2030年より前にピークに到達させる根拠になると考えている」と述べた。

こうしたことは、地球温暖化の抑制にとって重大ニュースかもしれない。しかし、中国の石炭使用は依然として大きな課題となったままだ。

中国は昨年、石炭火力発電所を週約2基のペースで新設した。その多くは、新たにつくられた太陽光および風力発電所の敷地内にあり、予備電力の供給や、エネルギーの継続的な供給を確実にする役割を担っている。

「今後の大きな問題は、これらの石炭火力発電所を実際にどう使うのかということだ」とワイル氏は言う。

「石炭に対する再生可能エネルギーの比率を、できるだけ高めるように使われることが期待される」

このほか、蓄電池の開発や水素利用の拡大も重要指標となる。いずれも、中国の石炭からの移行を促すのに重要だ。