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政府が脱炭素社会の実現に向け、5月末にも改定する「水素基本戦略」の骨子案が判明した。2040年の水素供給量の目標を、現在の約6倍となる「年1200万トン程度」に設定し、官民で今後15兆円を投資する計画を示したことが柱だ。近く関係閣僚会議を開き、岸田首相が表明する。
政府は、30年度までに温室効果ガスの排出量を13年度比で46%削減し、50年までに実質ゼロとする「カーボンニュートラル」の実現を掲げている。水素は燃焼時に温室効果ガスを出さないため、次世代エネルギーの柱として期待されている。
骨子案では、水素エネルギーの普及に向け、現在は年約200万トン程度の供給量を大幅に増やす目標を新たに設定。30年頃に水素の商用化を実現させるため、大規模なサプライチェーン(供給網)やコンビナートの拠点を構築する必要性も指摘し、財政的な支援や官民の投資で後押しすることも明記した。
水素を製造する水の「電気分解装置」については、日本関連企業の導入目標を設け、30年に世界シェア(占有率)の1割を目指すとした。
また、水素は製造方法によって二酸化炭素(CO2)が発生するため、製造時のCO2排出量を踏まえた「クリーン水素」の世界基準を日本主導で策定することも盛り込んだ。
政府によると、水素基本戦略は17年に日本が初めて策定し、その後、ドイツやオランダなどが同様の戦略を取りまとめている。