「大手電力は送電部門を手放せ」 不正閲覧めぐり有識者会議が提言へ

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岩沢志気 宮川純一
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 大手電力の社員らが、競合する新電力の顧客情報を不正に見ていた問題を受け、内閣府の有識者会議は、大手電力の送配電部門と小売り部門を完全に分離する「所有権分離」を求める提言を出す方針を固めた。2日の会合で示す。大手電力は分離に激しく抵抗しており、政府がとりまとめる「規制改革実施計画」に盛り込めるかどうかが焦点となる。

 電力事業は大手10社が地域ごとに独占していたが、2016年の完全自由化を受け、新規参入した「新電力」が家庭向けも含めた電気の販売を扱うようになった。大手電力の送配電部門は、小売りや発電など他の部門から切り離すことが15年の電気事業法の改正で義務づけられた。

 しかし、資本関係の分離まで求められていないため、今も沖縄電力を除く9社は送配電部門を子会社として所有している。

 不正閲覧は、販売にかかわる大手電力の社員らが、送配電子会社が持つ新電力の顧客情報を見て、顧客の引き抜きなどの営業活動に使っていたことが判明している。

 こうした事態を受け、内閣府の「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」は、不正閲覧について「公正な競争を揺るがしかねない深刻な事態」と問題視。小売り部門と送配電部門が同じグループ内にとどまっていることが不正の温床になっているとみて、資本関係も含めて送配電子会社を大手電力から切り離す「所有権分離」が必要と判断した。

 提言では、今の制度でも対応…

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