IEA、電力部門の排出量「近くピーク」 アジアで需要増
【ブリュッセル=竹内康雄】国際エネルギー機関(IEA)は8日公表した報告書で、2025年までの新たな電力需要のほとんどを再生可能エネルギーと原子力がまかなうとの分析を公表した。温暖化ガスの排出がない電源の拡大で、電力部門での排出が頭打ちになる転換点が近づいていると分析した。
世界の電力供給は23年から年平均で2.8%増え、25年には約3万1千テラワット時になる。太陽光や風力などの再生エネは9%、原子力は3.6%拡大し、増加分のほとんどはゼロエミッション電源がまかなう。
ロシアのウクライナ侵攻以降、各国はエネルギー安全保障の観点から脱化石燃料を急いでいる。電源構成に占める再生エネのシェアは22年の29%から25年には35%に上昇する。電力部門の排出量は25年は130億トンで、22年の132億トンから減る。
需要の伸びの7割以上は中国とインド、東南アジアで占めるという。世界の電力消費のうち、中国が占める割合は15年時点の4分の1から25年には3分の1になる。アジア全体では世界の半分の電力を使うようになる。
アジア・太平洋地域では再生エネや原子力ほどの勢いではないが、石炭や天然ガスによる発電量も増える。そのため、世界の排出量に占める割合は22年の63.6%から66.7%に増える。
IEAは原子力の伸びは中国、インド、日本と韓国がけん引するとみている。
ビロル事務局長は声明で、各国がより低炭素電源を拡大すれば「温暖化防止の目標を達成しながら、安定した電力供給を確保できる」と訴えた。
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