「博士離れ」浮き彫り、学生2年連続減 就職状況厳しく
2022年度に大学院博士課程に在籍する学生数は7万5267人で、2年連続で減少したことが24日、文部科学省が公表した学校基本調査(速報値)で分かった。大学の学部生数が8年連続で増加するなか、大学院の人気薄が続いている。博士課程修了者の就職状況は厳しく、将来不安が「博士離れ」につながっている懸念がある。
調査によると、全国の大学院の博士課程学生数は直近10年は7万人台で推移し、22年度は前年度比で28人減った。うち女子(2万5769人)は同99人増だったが、男子(4万9498人)が同127人減だった。
希望すれば大学に進学できる「大学全入時代」を迎えるなか、学部の学生数は前年度比6722人増の263万2410人と8年連続で増えた。博士課程につながる修士課程も16万人台で横ばいで、大学院に進学する学生の伸び悩みが改めて浮き彫りになった。
背景には修了後の不安定な雇用状況があるとみられている。同省科学技術・学術政策研究所によると、18年度の博士課程修了者のうち20年時点で29%が非正規雇用だった。ポストドクターと呼ばれる任期付研究員や契約社員が多かった。
博士号取得者は先端研究やイノベーションの担い手として期待され、海外では増加傾向だ。米国(18年度)は約9万1千人、韓国(21年度)は約1万6千人で、00年度と比べいずれも2倍超になった。博士人材の減少は研究力の低下を招きかねず、文科省は大学院に対して博士人材のキャリア確保支援を求めている。
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