横紙破りとはこうしたことを言うのだろう。大手電力7社が経済産業省に申請した電気料金の値上げをめぐり、河野太郎消費者担当相が率いる消費者庁が「大手電力の不適切事案の検証が最優先事項だ」と主張し、これに対応しなければ値上げ協議には応じない強硬な姿勢を示唆した。値上げの認可には経済産業相と消費者相の協議が必要とされているからだ。
河野氏は値上げについて「顧客情報の不正閲覧や電力カルテル事件とトータルパッケージで結論を出さなければならない」としている。不祥事を含めて値上げを検証すべきだとの立場だ。不祥事が相次ぐ電力業界の値上げは、なるべく圧縮したいとの思惑だろう。
大手電力の送配電子会社が新電力の顧客情報を同じグループの小売子会社に漏らし、関西電力はその情報を不正と知りながら自社の営業に利用していた。昨年12月には関電と不当に競争を制限するカルテルを結んでいたとして、公正取引委員会が中国電力と中部電力、九州電力の3社に1千億円超の課徴金納付命令案を示した。