日本風力開発の計画中止を要望 秋田・男鹿の若者ら

地元の子供たちと風力発電計画いったん中止の要望書などを提出する佐藤毅代表(左から3人目)ら=21日午前、秋田県男鹿市役所
地元の子供たちと風力発電計画いったん中止の要望書などを提出する佐藤毅代表(左から3人目)ら=21日午前、秋田県男鹿市役所

日本風力開発(東京)が特別目的会社を設置して秋田県男鹿市で進める風力発電計画に対し、地元の若者らの団体が21日、同社に計画のいったん中止を求める要望書を提出した。日本風力開発をめぐっては、秋本真利衆院議員への不透明な資金提供疑惑が発覚しており、若者らは「事業者としての信用を喪失した」と訴えている。

7700人余の反対署名も

計画いったん中止の要望書を提出したのは「男鹿の里山と生きる会」(佐藤毅代表)と「ホタルカフェ実行委員会」(船木一人代表)。両会は計画に反対する市内外の7700人余の署名簿も手渡した。

計画は同市男鹿中と五里合の里山に、最大12基の大型風車と連絡道路などを建設する。

コントラバス奏者でもある佐藤代表は「住宅から大型風車まで最短700メートルと近く、景観や生態系への影響も非常に大きい。この森にはかつてコウノトリも飛来した。にもかかわらず地元への説明が不十分なまま進められている」と指摘する。

事業者としての信用は喪失

さらに同社による秋本氏への不透明な資金提供疑惑を受けて「このままでは事業者として信用することができない。事件の全貌が明らかになるまで計画を進めるべきでない。いったん振り出しに戻り、地元住民との話し合いから始めてほしい」などと求めた。

同社秋田事務所長で特別目的会社の高畠哲社長は「内容を精査して回答したい」と述べるにとどまった。

両会は同社に先立ち、男鹿市の菅原広二市長と同市議会の小松穂積議長にも同様の要望書を提出し、再生可能エネルギーに名を借りた乱開発を防ぐ制度づくりなどを求めた。

菅原市長に代わって対応した市の担当者は「計画については市長も住民の声を重視する姿勢でいる」と述べ、小松議長は「住民から要望が出されたので、議会としても何らかの姿勢を示す必要がある」と語った。

「県として歓迎しない」と佐竹知事

両会は「決して自然エネルギー施設建設、再生可能エネルギーへの転換に反対しているわけではない。だた秋田県は、特に風力発電で前のめりになっているように見える」とし、佐竹敬久知事に対し9月にも同様の要望を行う。

その佐竹知事はこの日の定例記者会見で、日本風力開発の男鹿市での計画について問われ「ああいう(資金提疑惑の)問題を起こして、また男鹿市で事業をやるというのは無礼だ。県として(事業中止の)権限はないが歓迎はしない」と述べた。

両会はまた、経済産業省と環境省には、再生可能エネルギー推進の適正化や事業計画の地元住民への十分な事前周知などを求めることにしている。

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