大手電力10社中7社が申請している家庭向け電気料金(規制料金)値上げを巡る審査の長期化が確実となった。岸田文雄首相は値上げ幅の圧縮も念頭に厳格かつ丁寧な審査を指示。審査を行う経済産業省の専門会合でも15日、直近の液化天然ガス(LNG)価格の下落などを反映し、火力発電用の燃料費などを再計算させる方針を固めたためだ。燃料費高騰で大手電力各社の経営が厳しく値上げ自体は避けられない状況だが、専門会合ではさまざまな数字が飛び交っており、利用者の納得感も得られる値上げ幅をどう決めるのか。議論の行方に注目が集まる。
「(直近の価格に置き換えて算定しないのは)国民の理解が得られない」、「公聴会で出た指摘は重く受け止める必要がある」。
3月3日の専門会合で有識者委員からはこうした意見が相次いだ。事務局を務める経産省の担当者は有識者委員の意見を踏まえ、15日の専門会合で燃料費などの再計算を7社に求める方針を提示。有識者委員の同意を得たため、7社に再計算を求める。