- 会場の600席は早々に完売。倉庫独特の温かみある照明が包むステージに、制服姿の10人が歓声を浴びながら登場。生徒会長の武藤彩未が指揮を取り「School days」の合唱から始まった。最年長でも中等部の彩未らで14才。最年少は小等部の菊地最愛、水野由結の11才(1999年生まれ!)。3才違いでも、ミスセブンティーンで身長168pの三吉彩花と129pの最愛で、約40p差があるのも成長期限定ユニットならでは。
1列に並んでのハモリから、すぐバラけて踊り出すと、客席は早くも総立ちに。<つぼみ咲け><さくら咲け>と手を天井に突き出したり、元気いっぱいのダンスを見せてくれた。
歌いながらイスを持ち込んで着席すると、チャイムが鳴って「学院祭もうすぐだね」「何やるの?」と教室が舞台の劇へ移る。先生役の森ハヤシが出席を取り、「ハイ」と返事しつつ自己紹介を始めるメンバーたち。中元すず香が「特技は……」とダンスを始めながら「暗算です!」とボケたり、ところどころ笑いも取った。そして、学院祭の出し物でダンスをやることになり、メジャーデビューシングルに収められた「Hello!IVY」へ。
手を左右に振りながら歌い、イスの周りを回ったりしながらリズミカルに踊る10人。ひときわ体が小さい最愛と由結も精一杯大きく動いて、しっかりキメる。途中からは全員がピンクの小旗を持ち、イスの上に立った彩未が「上に!下に!」「左!右!」と振りを付けるのに合わせ、会場が一体となった。
- 続いては、部活ごとの出し物の発表。そう、“学校”であるさくら学院には、ユニット内で部活もあるのだ。新聞部の長身コンビ、三吉彩花と松井愛莉が新聞部として進行役を務め、ラインナップと各部を紹介。一番手で彩未&小等部6人によるバトン部「Twinklestars」が登場した。チアガール風スカートで持ち歌「Dear Mr.Socrates」を、バトンを片手でクルクル回しながら披露。片膝立ちで回すバトンがきれいに揃うのは壮観だった。
彩未は「練習の後はすごい筋肉痛で、お風呂でほぐしました」と振り返り、小6の佐藤日向は「歌いながらバトンがぶつかっても、途中で謝れないのが悲しくて」といじらしいコメント。歌のタイトルの“ソクラテス”については「先生に聞いたら“人”といわれたけど、(堀内)まり菜に聞いたら“ガイコツ”と言われました」と話し、笑いを誘った。
次は、その堀内まり菜と飯田來麗、杉ア寧々によるクッキング部「ミニパティ」。白いコック帽&コック服で歌った「ハッピーバースデー」はバースデーケーキを作る歌で、ホイッパーを回して泡立てるようなフリがキュート。
そして一転、爆裂するドラミングのロックサウンドに乗って登場したのが、中元すず香とちびっこコンビの最愛&由結による重音部。アイドルに異例のへビメタナンバー「ド・キ・ド・キ☆モーニング」で、イントロから頭を振り乱す。といってもメロディはポップで、ハンドマイクで歌うすず香の両脇を小さい2人がロボットのようにクルクル回るのが、本物の人形みたいで可愛い。進行の彩花の紹介によれば自由な3人で、「すーちゃんはいろんなところをフラフラしてる。もあは突然壊れる。ゆいはよくウフフフと笑ってる」とのことだった。
さらに「謎のエントリー」として帰宅部が登場。パジャマにマスクで登場した3人組、そのマスクを取ると……ミニパティとしても出た來麗、まり菜、寧々!80年代のヒット曲「めだかの兄妹」をロックアレンジで歌い出す。すずめ、猫、めだかなど詞に出てくる動物に合わせ、ニャンニャンなどと踊るフリが胸キュンもの。<ニャンニャン><スイスイ>に合わせてコール&レスポンスも。
会場が大いに盛り上がったところで、メンバー全員がTシャツ姿で現れ、ダンスの発表として「もってけ!セーラー服」を踊り出すと、さらにファンはヒートアップ。テクノ調のリズムに乗り、横1列に並んで脚を上げるラインダンスや馬跳びまで飛び出し、歓声が何度も沸き上がる。小さい子たちがキビキビ動き、長身の彩花、愛莉は伸びやかさが光る。
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そんな学院祭もいよいよクライマックス。また制服に着替えてステージに現れた10人は、片膝から立ち上がり、メジャーデビュー曲「夢に向かって」を歌い上げた。中等部の4人が歌う後ろで、手をつないで回る小等部の6人。さらに、彩未を頂点にしたピラミッド隊形でせり出しを進んだり、縦1列になったり、フォーメーションを目まぐるしく変えていく。躍動感いっぱいで、みんな笑顔がはちきれそう!
そして、横1列になったメンバーが「今日のために練習した成果が出せました」「皆さんのパワーのおかげで成功しました」などひと言ずつあいさつ。そして、彩花から「心を込めて歌うので」と紹介されたラストソングは、ミディアムバラード「message」。中等部と小等部が前後を入れ替わりながらの熱唱。<笑顔はやさしく幸せ気分にするんです>との歌は、この日のステージで彼女たちが成し遂げていたことそのままだ。
アンコールがかかり、彩未の「ここがスタート地点だと思って、もっともっとがんばります!」との言葉に拍手が起こる。最後の曲はこの日2度目の「Hello!IVY」。再びイスの上から彩未が「上に!下に!」と振る小旗に合わせ、会場がピンク色に揺れた。最後は全員がステージ中央に集まって「IVY!イエーイ!」とキメる。10人は満足げな笑顔を浮かべながら「バイバ〜イ」と手を振り、ステージを後にした。
8月の初イベント出演から4ヶ月弱。パフォーマンスに格段の磨きがかかっていたさくら学院。それでもいい意味、未完成の魅力がこぼれ出す。成長期の10人はこれからステージに立つたび、スキルも身長や顔つきさえ見る見る変わっていくのだろう。彼女たちのライブは1回1回がそのときだけの、かけがえないものになる。青春という季節そのままに……。そう感じさせた、1日限りの学院祭だった。
(文:斉藤貴志)