南方電網、最大電力負荷が過去最高に

(中国)

広州発

2023年07月20日

広東省などに電力を供給する中国南方電網(注)は7月11日、南方電網の10日の最大電力負荷が2億2,600万キロワット(kW)に達し、過去最高を更新したと発表した。電力需要のピークとなる今夏は、同社の最大電力負荷が前年同期比10%増の2億4,500万kWに達すると予測されている。

同社の発表によると、広東省、広西チワン族自治区、雲南省、貴州省、海南省の1~6月の全社会電力使用量は前年同期比5.4%増の7,233億キロワット時(kWh)だった。電気使用量の伸び率を業種別でみると、製造業では電気機械器具製造業や医薬品製造業、サービス業では交通運輸業、倉庫・郵便業、宿泊・飲食業がいずれも前年同期比10%以上増加した。

中国南方電網はさまざまな電力供給の安定化措置を講じている。広東電力網公司広州電力局によると、6月29日から広州市茘湾区では、4号パッドマウント変圧器(地上用変圧器)の運用開始に合わせ、685件の供給設備工事が、深セン南山区では、500キロボルト(kV)現代変電所の4号主変圧器の拡張工事〔変電容量100万キロボルトアンペア(kVA)を増強〕が完成した。

広東省では2021年9月に厳しい電力制限が実施され、現地企業の操業、生産に大きな影響を与えた。広東省エネルギー局の劉文勝副局長は当時の電力不足の要因の1つとして、天然ガスや石炭価格の高騰などによって火力発電企業が採算悪化を恐れて発電に消極的だったことを挙げている(2021年9月30日記事参照)。

7月10日付の「南方エネルギー観察」によると、2023年1~5月の広州港の石炭(オーストラリア産)の平均価格は前年同期から15.6%下落し、1トン約1,098元(約2万862円、1元=約19円)となり、2021年に電力制限が発生した9月(1トン1,755元)、10月(同2,575元)の石炭価格を下回った(「南方エネルギー観察」7月10日付外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

中国電力企業連合会によると、7月6日時点の発電企業の石炭在庫利用可能日数は23.8日としており、石炭在庫は十分にあるとみられる。

(注)中国南方電網のウェブサイトによると、同社は広東省と広西チワン族自治区、雲南省、貴州省、海南省、香港、マカオを電力供給先としている。

(梁梓園)

(中国)

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